こんにちは、yamです。今回は、私が母親を亡くした際に救われた本を紹介します。
大切な人の死に直面するのは誰でも悲しいことですが、避けて通れるものではありません。私は母親が亡くなったとき、悲しみだけでなく、いろいろな感情が押し寄せてきました。
その感情をどう整理したらいいかわからないとき、「永遠の別れ」(エリザベス・キューブラーロス)という本に出会いました。
母親が1週間の昏睡状態にある間、この本を読んだことで、徐々に気持ちの整理ができたのです。
大切な人を亡くして悲しみに暮れている方の参考になれば幸いです。
母親の死
6年前、末期の肺がんを患っていた母親は、仕事関係の人達と台湾へ旅行に行った際、心臓発作で倒れました。その後意識不明のまま1週間の昏睡状態に陥ったあと、息を引き取りました。
当時、母親が倒れたとの報を聞いてすぐに台湾へ飛びました。病院で人工呼吸器につながれ、声を呼び掛けても反応しない母親の姿を見るのはつらかったです。
医者からは「脳死状態になっており、助かる見込みは1%以下」と説明されました。
それを聞いて母親の死を覚悟しましたが、現実をすぐに受け入れることはできませんでした。がんになっていたとはいえ、数日前まで家で普通に生活していて、旅行にも行っていた人がもうすぐ死んでしまうということに、理解が追い付かないのです。
怒り、悲しみ、後悔といった感情が渦巻く中で、自分の感情を整理するためにキューブラーロス著の「永遠の別れ」を手に取ったのは、必然だったのかもしれません。
悲しみを癒す智恵の書「永遠の別れ」の解説
「永遠の別れ」の作者であるキューブラーロスは、人々が死に直面したときにたどる心理的プロセスを、「喪失の5段階」としてあらわしています。
- 第1段階 「否認と孤立」
- 第2段階 「怒り」
- 第3段階 「取り引き」
- 第4段階 「抑うつ」
- 第5段階 「受容」
この喪失の5段階は、死にゆく人だけでなく、残される側の人間にも同じ心理が起こります。
そのため大切な人が亡くなって悲しみに明けくれたり、自分や故人に対する怒りといった感情は、死を受け入れるための必要なプロセスなのです。
なので、現実を受け入れがたい気持ちや怒りの感情がでてきても、それは自然なことだと考えてよいのです。
大事なのは、悲しみや怒りといった感情を抑え込むのではなく、自分や他人を傷つけないように感情を発散することであると著者は述べています。
布団の中で思いっきり泣いたり、体を動かしたりして悲しみや怒りを溜めこまないようにするのです。実際に私も泣くだけ泣いて、仕事も変わらずにやっていると、心がだんだん落ち着くようになりました。ですので一人になったときは、感情を抑え込まないのと、ある程度忙しくすることをオススメします。
愛する人の喪失に「打ち勝つ」のではなく、その人の死という現実を「受容」して、喪失とともに生きることを学ぶのです。そうすれば、こころの傷は自然に癒え、苦しんできた喪失の記憶のまわりに、新しい自分が再建されるのです。
愛する人といっしょに生きていた時期の自分と、愛する人を失ったあとの自分はおなじ「自分」ではない。愛する人がいないまま以前の自分にもどるのではなく、愛する人の死という苦い経験をもった「新しい自分」に成長して、再び歩きだすのです
そして引用文にあるように、大切な人を失ったあとは、「新しい自分に成長する」と著者は述べています。
大切な人を失った直後は、喪失の感覚に苦しむことになりますが、それは新しい自分になるための成長痛なのではないかと今では思います。
母親の死を経験し、本書を読んで思ったこと
私は24歳の時に母親を亡くしましたが、今ではこの経験をかなりポジティブにとらえています。
なんでかというと、「人生は短い」ということを肌で感じ、「やりたいことは今すぐやるべきだ」という信念ができたからです。
そして、どんなに若くて健康に気を遣っていても、死ぬ人は死にます。そして、死があるからこそ、生きていることに感謝できるのです。これは本書にも書いてあることですが、自分が実際に経験して、同じことを思いました。
平均すれば私は他の人より若い時期に親を亡くしたと思いますが、すべての親はいつか亡くなります。そして一番大事なのが親より先に死なないことだと思います。母方の祖母は、「一番の親不孝は、親より先に死ぬことだ」と泣きながら語っていました。
他にポジティブに考えていることは、事件や事故に巻き込まれたわけではなく、病気で亡くなったという「自然死」だったことです。
恐らく自分の大切な家族が事件・事故に巻き込まれれば、悲しみとは別の感情も湧き上がってくるでしょう。私は母親の死に関して誰にも恨みなどの感情は持っていませんし、葬式を行う頃には穏やかな気持ちで母親を見送ることができました。
母親が亡くなったあと、遺産相続という形で、高級車が買える位の遺産を受け取りました。
その相続の金を使い、合計約1年4か月、約40か国を旅行しました。
そして長期海外旅行から帰ってきた約1年後、新型コロナウイルスによるパンデミックにより、海外旅行に行くことができない状況になったのです。
コロナウイルスが広がる前に多くの国を旅できたのは本当にラッキーだったと思いますし、やはり「やりたいことはすぐにやる」という私の考えは正しかったんだなと痛感しています。
死ぬときに後悔することをゼロにするのは難しいかもしれないですが、できるだけ減らしていくのが大事だと思います。
大切な人が亡くなって、悲しみに明け暮れているとき、この本を読んで救われる人が一人でも多く増えれば幸いです。
それでは、また。