イランは中東の大国で、サッカーもアジアでは強豪国として知られています。
イランにはトルクメニスタンから陸路で入国しました。
イスラム教シーア派の聖地であるマシュハド→ゾロアスター教の聖地であるヤズド→エスファハーンの3都市を巡ったあと、首都のテヘランに到着です。
テヘランは人口約870万人を超える大都市ですが、特に観光名所はありません。
しかもこの街の交通マナーは最悪でした。
大量のバイクが走りまわり、信号はだれも守らず、クラクションも頻繁に鳴ります。
例えていうならインドとベトナムを足して2で割ったような街ですね。
そんな人が多いだけで特に見どころのないテヘランは、次に訪れるアゼルバイジャンへ向かう中継地に過ぎなかったのです。
しかしネットで調べるとサッカーのリーグ戦があることを知ったので、試合がある日まで4日ほど待つことにしました。
10万人のスタジアム、観客はすべて男
試合が行われるアザディスタジアムはテヘラン中心部から少し西に離れた場所にあり、地下鉄で向かうことにしました。
試合後は混みそうなので往復分のチケットを購入します。料金は2万リヤル(約52円)でした。
一眼レフカメラも持参したかったのですが、治安の面も考えてスマホだけで写真を撮ることにしました。
画質が良くないのは大目に見てください。
最寄り駅を降りると、バイクタクシーが何台か待っていました。
キックオフ開始時刻までは時間に余裕があったので、バイクには乗らず徒歩20分かけてスタジアムへ向かいます。
試合開始の1時間以上前に着いたのですが、それでも多くのサポーターがスタジアムに集まっていました。
チケットを購入料金は100000リアル(約260円)。
サッカーの試合のチケットは記念にいつも取っておくのですが、スタジアムに入場するときに、チケットもぎりの人がチケットを破いてその場に捨てるというスタイルであったため、持ち帰ることができませんでした。
バックスタンドは全体が自由席になっていて、真ん中の席はすでに埋まっていました。
ひまわりの種を食べている観客がやたらと多く、残りかすをその場で口から吐き出すので、かなり汚いです。
自分が来るべき場所ではないのかもしれないとさえ感じました。
スタジアムに入る前に男に話しかけられ、サポーターの証として腕にペイントをしてもらったものを撮影。
ペイントされたあとにお金を請求されましたが、油断していた自分が悪いと感じ、しぶしぶお金を払いました。
人があまりいない席を選びましたが、試合開始前にはイラン人の男たちに囲まれました。
ピッチからの眺めはよくないです。とくにスピーカーが観客席の前に何本も立っているためそれがストレスに感じます。
ペットボトルの持ち込みは禁止されていたので、スタジアムでドリンクを購入しました。
安全面からパックに入った形で提供されます。これならピッチに投げようとする気にもならないでしょうね。
観客は全員が男です。私以外に外国人らしきひとは見当たらず、人口密度が高い中での観戦となりました。
この場所に来れたのも自分が男に生まれたからですが、女性ファンでスタジアムで観戦したいと思う人はいないのでしょうか?
選手入場。ホームチームは青いユニフォームを着たエステグラルというチームです。2回のアジアチャンピオンにもなった強豪です。
10万人収容のスタジアムなので空席が目立つのは仕方ないですが、バックスタンドはぎっちりと観客で埋まっていましたた。
公式記録によると、今日は3万人の観客がスタジアムを訪れました。
周りの異様な雰囲気に気を取られ、試合にあまり集中できません。
チャンスシーンになると一斉にブブゼラの音が鳴り響きます。
試合中、隣の席に座っていた人にアイスを奢ってもらいました。
熱帯夜の中での観戦だったので、これはかなりうれしいプレゼントです。
最初の頃は身の危険を感じていましたが、試合の終盤になるころにはスタジアムを去るのが名残惜しくなってきました。
ブブゼラのうるさい音でさえ時間が経てば慣れてしまうものですね。
試合は両チームともチャンスを活かしきれず、得点のないままゲームが過ぎます。
終電の関係もあり、試合終了10分前にはスタジアムを後にしました。
走って駅へ行こうとすると、バイクに乗った青年い話しかけられ、駅まで送ってくれました。
お金を渡そうとすると、彼はそれを拒みましたが、お金をあげたくなくなるほど嬉しかったので、受け取るように促すと、彼は照れるようにお金を受け取りました。
おわりに
約3か月後、このスタジアムでアジアNO1のクラブを決めるアジアチャンピオンズリーグ決勝が行われ、鹿島アントラーズが初のアジア王者になりました。
その試合ではアザディスタジアムが満員となり、大アウェーのなか、鹿島の選手たちがアジア王者になったのです。
2016年にはレアルマドリードの試合を現地で観戦し、その3か月後に鹿島とクラブW杯で対戦しました。
今回はチームこそ違いますが、自分が訪れた3か月後に同じ場所鹿島が優勝を決めるとは、奇妙な運命だと思います。
またイランは親日で優しい人が多いと書いているブログをよく見かけましたが、私はそう感じませんでした。
最初に訪れた街では「チン・チョン・チャン」と、アジア人を蔑視する差別用語を受けました。
そんなこともありイランに対するイメージはかなり悪くなりましたが、イラン滞在終盤に訪れたサッカーの試合では、何人かの親切な人に出会いました。
どこの国にも嫌な人もいればいい人もいます。
少なくとも自分が訪れたスタジアムではいい人のほうが多かったですね。
イラン最後の夜によい思い出を作らせてくれた人たちに感謝です。
(訪問日:2018/8/22)